皆さんこんにちは
有限会社ユニオン精工の更新担当の中西です。
~曲げ・溶接・真空成形~
樹脂加工では、板材を切って削るだけでなく、熱を加えて曲げたり、複数の部品を溶接したり、型へ密着させて立体的な形状をつくったりします。
樹脂は、一定の温度まで加熱すると軟らかくなる性質を持つものが多く、この特徴を利用することで、金属では難しい複雑な形状を比較的軽量に製作できます。
しかし、加熱温度が低すぎると割れや白化が起こり、高すぎると表面が変色したり、気泡が発生したりします。
樹脂加工では、材料の状態を見極めながら、温度、時間、圧力、冷却方法を調整する技術が必要です🌡️
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
樹脂には、大きく分けて熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があります。
熱可塑性樹脂は、加熱すると軟らかくなり、冷やすと再び固まります。アクリル、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどが代表的です。
この性質を利用し、曲げ加工や真空成形、熱溶接などが行われます🔥
一方、熱硬化性樹脂は、いったん硬化すると、再加熱しても元のように軟らかくなりません。
エポキシ樹脂、フェノール樹脂などがあり、耐熱性や機械的強度が求められる用途で使用されます。
加工方法を決める際には、材料がどちらの性質を持っているかを確認しなければなりません。
見た目だけでは判断できない場合もあるため、材料表示や証明書を確認することが重要です。
線曲げ加工の仕組み
樹脂板を直線的に曲げる加工を、線曲げと呼びます。
板材の曲げたい部分へヒーターで熱を集中させ、軟らかくなったところで角度をつけます。
店舗用の什器、機械カバー、商品スタンド、仕切り板など、さまざまな製品に使われます📐
線曲げでは、加熱する幅と時間が重要です。
加熱幅が狭すぎると、曲げ部分へ力が集中し、外側に白い筋や亀裂が発生します。
広すぎると、曲げ部分が丸くなりすぎ、狙った寸法や角度を出しにくくなります。
板厚が厚い場合は、片側からの加熱だけでは内部まで均一に軟らかくならないことがあります。
表裏の両側から加熱したり、時間をかけて内部まで温度を上げたりします。
ただし、長時間加熱すると、板全体が変形する可能性があります。
材料、板厚、曲げ角度に合わせた加熱条件を設定することが必要です。
曲げ角度を安定させる治具
加熱した樹脂は、冷えて固まるまで形状が安定しません。
手で角度を合わせるだけでは、製品ごとにばらつきが生じます。
そこで、決められた角度や寸法に保持するための治具を使用します🛠️
90度に曲げる場合は、直角の治具へ当て、冷却が完了するまで固定します。
樹脂には、曲げた後に少し元へ戻ろうとする力があります。これを考慮し、仕上がり角度よりわずかに深く曲げる場合もあります。
ただし、戻り量は材料や板厚、加熱温度によって変わります。
試作を行い、適切な治具形状や曲げ角度を調整します。
複数回曲げる製品では、曲げる順番も重要です。
先に曲げた部分が後工程の邪魔にならないよう、加工手順を検討します。図面どおりの形にするだけでなく、実際に加工できる順序を考えることが技術者の役割です。
樹脂溶接の技術
塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂は、熱風や専用機器を使って溶接できます。
薬品タンク、水槽、ダクト、配管、工場設備部品など、液体や空気を扱う製品に利用されます。
樹脂溶接では、母材と溶接棒を加熱し、軟らかくなった状態で一体化させます🔥
温度が低すぎると、表面だけが付着し、十分な強度を得られません。
高すぎると、樹脂が焦げたり、分解したり、内部に気泡が生じたりします。
材料ごとに適切な温度が異なるため、溶接機の設定と作業速度を調整します。
溶接前には、接合面の汚れや油分を除去し、必要に応じて溝を加工します。
溶接棒を押し付ける力も重要です。
強く押しすぎると溶接部分が薄くなり、弱すぎると母材となじみません。
一定の速度と圧力で作業し、均一な溶接ビードを形成します。
押出溶接による大型製品の製作
大型のタンクや厚板製品では、押出溶接機を使用することがあります。
樹脂材料を機械内部で溶かし、接合部分へ押し出しながら溶接する方法です。
手作業の熱風溶接と比べ、多くの樹脂を連続的に供給できるため、厚い板や長い接合部に適しています🏭
ただし、溶接量が多い分、温度や速度が合っていないと、大きな不良につながります。
母材の表面温度、押出される樹脂の温度、溶接速度などを管理します。
タンクなど液漏れが許されない製品では、溶接後に水張り試験や気密試験を行います。
外観上はきれいに見えても、内部に未接合部分が残っている場合があります。
必要に応じて複数層に分けて溶接し、接合強度を確保します。
真空成形で立体形状をつくる
真空成形は、樹脂シートを加熱して軟らかくし、型へかぶせた後、シートと型の間の空気を吸い出して密着させる方法です。
食品トレー、機械カバー、内装部品、包装材など、薄肉で立体的な製品に利用されます📦
真空成形では、樹脂シート全体を均一に加熱することが重要です。
加熱むらがあると、軟らかい部分だけが大きく伸び、板厚が不均一になります。
温度が低い部分では型へ十分に密着せず、細かな形状が出ない場合があります。
ヒーターの配置や出力、加熱時間を調整し、シートの垂れ方を観察しながら成形タイミングを判断します。
材料によって適切な加熱状態が異なるため、経験とデータの両方が必要です。
型設計が成形品質を決める
真空成形では、型の形状が製品の仕上がりを大きく左右します。
垂直に近い深い形状では、成形後に製品を型から外しにくくなります。
そのため、型にはわずかな抜き勾配を設けます📐
角が鋭すぎると、シートが引き伸ばされ、角部分の板厚が薄くなります。
適切な丸みをつけることで、材料が均一に流れやすくなります。
空気を吸い出すための小さな穴も必要です。
穴の位置や数が不足すると、型とシートの間に空気が残り、形状が出ない部分が発生します。
反対に穴が大きすぎると、製品表面に跡が残ることがあります。
型の温度も品質に影響します。
冷たすぎる型へ高温のシートを当てると、表面だけが急に冷え、形状が安定しない場合があります。型材や生産数量に合わせて、温度管理や冷却方法を検討します。
成形後のトリミング加工
真空成形では、成形しただけでは製品が完成しません。
余分な部分を切り取り、穴や開口部を加工するトリミング工程が必要です✂️
成形品は平らな板材とは異なり、立体的な形状をしています。
安定して固定しにくいため、専用治具を使用します。
CNC加工機やルーター、プレス型などを使い、製品ごとに決められた位置を切り取ります。
位置がずれると、取り付け穴や外周寸法が合わなくなります。
成形時の収縮や個体差を考慮しながら、基準位置を決めることが重要です。
切断面にはバリが残る場合があるため、面取りや研磨を行います。
製品を手で触れた際にけがをしないよう、細部まで仕上げます。
溶接部と曲げ部の検査
曲げ加工後は、角度、寸法、表面の白化、亀裂などを確認します。
曲げ部分の内部に微細なひびがあると、使用中の振動や荷重によって割れが進む可能性があります🔍
溶接部では、ビードの形状、焦げ、気泡、接合不足などを確認します。
必要に応じて引張試験や曲げ試験、気密試験を行います。
タンクや配管では、実際に水や空気を入れ、漏れがないかを確認します。
検査で問題が見つかった場合、表面だけを補修するのではなく、原因を調べることが大切です。
温度設定、溶接速度、材料の保管状態、表面処理などを確認し、同じ不良が繰り返されないようにします。
まとめ
樹脂の曲げ・溶接・真空成形では、熱を正確に扱う技術が求められます。
温度が少し違うだけでも、割れ、変色、気泡、板厚不良などが発生します。
材料の種類や板厚を確認し、加熱時間、圧力、冷却、治具などを適切に調整する必要があります🌡️
樹脂は、熱を利用することで自由度の高い形状へ加工できる素材です。
その可能性を最大限に引き出すためには、材料の変化を見極める経験と、安定した条件をつくる設備・管理技術が欠かせません。
製品の見た目だけでなく、強度や気密性、長期耐久性まで確保することが、樹脂加工業における成形・溶接技術の重要な役割なのです。
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